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北限のゆず調査録 No.4

ゆずは、その鮮烈な香りと味わいで日本人の舌を魅了してきた果物ですが、その歴史は奈良時代にまで遡り、1300年以上もの間、ゆずは日本文化の一部として存在し続けてきました。 その背景には平家の流人たちが、かつての優雅な生活を回想するために、ゆずの種を持って逃げ、新たな生活の地を模索したという伝説があります。 その選んだ地は山奥、気象条件が厳しい場所でしたが、ゆずにとっては最適な場所でした。

歴史的に見て、ゆずは料理や保存食に広く用いられてきました。 食塩と組み合わせて長期保存する方法は、冷蔵技術のなかった時代に発祥したものですが、現在では減塩志向により、その方法は進化を遂げています。

青玉でも黄玉でも商品価値があるゆずは、特にその香り成分のリモネンやγ-テルピネンが高く評価されています。 江戸時代から続くゆず湯の風習は、その様々な効果から今もなお愛されています。 また、日本だけでなく、世界的にも知名度を上げつつあります。 例えば、フランスのマカロンにも使われるなど、その普及の度合いは加速しています。

ゆずの遺伝子研究から得られた知識は、この香り豊かな果物が特殊な増殖の仕方をしていることを示しています。 ゆずは雄花と雌花が受粉した後、胚の成長が止まり、別の胚、通称珠心胚が成長を始めるという、数百万年前に発生したとも言われているゆずの姿を保ち続ける独特の生殖方法を持っています。

この情報は、未来のゆずの研究やその普及活動にとって貴重な知見となっています。 全国にゆずを広める活動が進む中、その歴史や特性を理解することは、ゆずがこれからも我々の生活に豊かな香りを添えていくために不可欠です。 世界中で広がりを見せるゆず、その香りは一体どこまで伝わるのでしょうか。 その答えを探る旅は、まだまだ続きます。

ーーーーーーーーーー 北限のゆず調査団 2023年6月に発足した北限のゆずの歴史を調査するチーム。 メンバーは陸前高田イタルトコロ大学の大学生や先生を含む9人です。 8月には、陸前高田市での現地調査を予定しています。

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